大塚工務店の家つくり

風土に合った住まいの姿を追求したパッシブデザイン

 

暮らしの設えについての優先順位は人それぞれ、まさに住人十色です。
国の求める性能は担保しながら、住む人の想いに心を寄せて、住まい手の暮らしに向き合い、暮らし方を提案するのが住宅建築の本質ではないでしょうか。であるからには、あたりまえを見つめなおして、流行りすたりで変わらない、本質的なものを提案しなければならないと考えています。

たとえばそれは、「陽と風」。

大塚工務店では、パッシブデザインという設計手法を駆使して、日本の中の兵庫の気候や風土にあった、外部環境を跳ね返さない、軒の深い佇まいを追及しています。エネルギーを使うこと前提の、設備に頼った暮らし方ではなく、お陽さんの力、風の力といった変わることない自然の力と共存する木の家つくりです。

 
 
 
 

電子機器は極力使いたくないんです。
センサー類は特に、生活の中で使いこなせない住まい手も少なくありません。
何かあったときにプロに頼らないといけない設備ではなく、住む人が直すことのできる設えを大切にしています。
電動より手動、センサーより人力、数値より感覚…時代と逆行しているでしょうか。
でも全てが機械仕掛けの家に困惑し、違和感を覚える人も少なくありません。わたしもそのひとりです。
自然との付き合い方においても、スイッチに頼り、機械で制御して、押さえつけるものではなくて、寄り添うものだと思うのです。例えば、開けておくのが似合う引戸は、あちらとこちらを優しく間仕切る立派な装置です。
人の手で動かす建具は熱い寒いを容易に調整できる住むための道具なのです。

 

国産・県産素材へのこだわり

 

素材に関しても、「(工業)製品」として完成し、机上でカタログから選ぶものはあまり頼りになりません。
実物を手にして、時に産地におもむき知識の深い専門家と話しながら検討していく。
素材に対する愛情と理解が浅い人のいいなりでチョイスするのはもったいない。
愛着をもてる素材を住む人と並走して見つけること。どこかで聞きかじりしてきた偏見にくすぐりを入れて、ほぐして、ご自身で判断できるきっかけをつくることを肝に銘じています。
住む人の声に耳を傾けたら、すぐにひろげて提案できる「素材とそれを活かした設えの風呂敷と引出」は、全国津々浦々、素材の産地を奔走して、日々満タンにしています。

 
 
 
 

広義での国産木材の普及に尽力する傍ら、少し狭義でそれを捉えなおして、わたしたちの住み暮らす地元兵庫県と金融機関が協力して資金を融資する『兵庫県の木造住宅ローン』という制度もご紹介しています。
隣県に名産地が多く、普及促進が思うように進まない県産木材をたくさん使うことで、超低金利の長期固定金利融資制度を利用できる、兵庫県民の実は! の特権です。さらに県産粘土瓦を使い、環境配慮型住宅にすることで、融資の上限を上乗せし、より有利な条件で家つくりに取り組むこともできます。
木材、特に骨組となる構造材を供給してくれる材木やさんは、県内の山と、その裾野を訪ね、目利きとして山と建築の双方を真面目に支えてくれる製材所を限定しました。森の管理状況や、木材の乾燥方法などを分析、強度や含水率、そして、表して魅せて使うにふさわしい表情や在庫サイズなどを吟味。森に還す住まいを考える材木やさん「しそう森の木」を県産木材の供給パートナーとして選びました。食べものではあたりまえになった、どこの誰が作ったか履歴をたどれるトレーサビリティーも大切にしています。
又、皆さんに地元の森の状況を知り、理解を深めてもらうために、県の林務課の協力の元、ひょうご木のすまい協議会の仲間たちと、宍粟の山に入り、きこりに会いに行くピクニック(林産地見学会)を毎年、春と秋に行っています。

これらの集大成として、地元産の良質な素材を中心に、全国各地の仲間から供給される国産の様々な良材を吟味して適材適所に活用した、兵庫の杉普請として木の家を建てています。自信を持って提供できる木材であるからこそ、無垢の木を利用した在来工法でありながら、全棟構造計算を行い、耐震等級を示しています。

 

「体に馴染む家、世代を超えて好きになる家」を演出したい。

 

私たちは、じっくり時間をかけて、住む人と愉しみながら、木の家つくりを重ねています。
設計も専ら自社で行います。
私は四代目なのですが、大切に住み繋いで頂いた祖父の代の住まいは、今の価値観とは少し違った魅力があります。
全部が職人の手仕事で、既製品と呼ばれるような部品は少なく、そのほとんどが大工による丹精込めた設えでした。
その製作は工場ではなく、現場と作業場で成されました。

古民家再生の定石がよい例です。
近現代の増築部分を減築し、ハリボテの内装リフォームを剥がし、元に戻す。それだけで、風が通り、日が差し込み、素材の力が息を吹き返したように住まい手を包み込んでくれる。「エエもん」に添加物を極力加えず仕立てた大工の仕事は、今に生きています。現代の暮らしに足りないのは断熱と気密、付け足すのは難しくありません。家を新しく建てる時も、同じだと思います。

 
 
 
 

大塚工務店の棟梁は、中学を出て大工になった、いわゆるたたき上げの最後の年代です。墨付け、手刻み、段取り、どれを取っても一流です。基本や当たり前が分かっているから、型を崩すこともできるんですよね。経験の浅い職方は、悪く言えば、設計者の言いなりです。これは、設計施工が同一である工務店の危うさにつながります。職人が工事しやすい方に流れる可能性がありますからね。風通しのいい大工のチームワークがあれば、設計者と相まって事の良し悪しをしっかり精査することができます。大工までも外注にして手放すメーカーが多い中で、大工をしっかりと手元に抱えて、現場の要に据えることが、建築屋の使命だと考えます。

建築という行為は多くの職方の手の集大成です。建具職も左官職も、パートナーである各職方もお陰様で、跡継ぎが居てくれています。先代、先輩から伝統と型を引継ぎ、失いかけた技術も取り戻さないといけません。たとえば、流し台は大工がつくるものでした。かっての炊事場(おくどさん)は左官職の腕の見せ所でした。職人に活躍の場を提供し、住まい手がそれを愛でる。そんな関係性、物語を演出していきたいと考えています。

現代求められる性能は、国の定める指標を読み解き、自社の木の家らしく編集し、当たり前に担保する。暮らしの設えという(なにも江戸時代に戻るのではなくて)古来の知恵を忘れず、往時の担い手がいる間に、少し前のあたりまえを真摯に受け止め、傾聴し、目を養い、手を動かすことで、現代民家の在り方そのものを提案しています。

求めれば、内に居ながらにして外を感じることのできる設えが、わたしたちのつくる木の家には備わっています。軒のないガラス張りは、自然の力をはね返してしまいます。はね返された自然は、お隣やお向かいでいたずらをしかねません。太陽や風を、時に受け入れ、時に受け流し、寄り添う暮らし。めざすべきは、そういうことではないかと。

【木の家の住まい手は、住み暮らしながら、四季を愉しむために施された設えを、自らに馴染ませていく。現しの無垢の木の架構、板やら土やら紙やら、素材がそれに応える。洗濯するごとに体に馴染む衣服のように、家が体に馴染んでくる。家が好きになる。子供たちも、お父さんお母さんと一緒に、家が好きになる。季節を肌で感じながら、心地よい方向へ、ありのままに使いこなしていく】

私たちがイメージする住まい手像です。

 

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