住まいをつくることは、居場所をつくるということ

シリーズ/もうすぐ一年
木の家の住まい手に聞く。お気に入りの場所は?

「いよいよ、そこでビールを飲める季節がやって来たなあと。」

お気に入りの場所はできましたか?そんな曖昧な問いかけに「色々あるのですが、一番はやっぱり濡れ縁です。すごく気持ちのいい場所で…」新しい季節を待ち侘びたようなMさんの笑顔が印象的でした。

お引き渡しは穏やかな秋口でした。薪ストーブライフを満喫された寒いけど暖かい冬。迎えた春には、吹き抜ける風を肌に、鳥たちの歌声を耳に、窓から訪れる沢山の自然に五感が心地よく刺激されたと言います。


アウトドアが共通の趣味だというMさんご夫婦。外を感じたい季節にぴったりの、引き込んで開け放てる窓。雨の日も窓を開けたい、を叶える深い軒と庇。陽射しを適度に遮り、木漏れ陽にかえてくれる格子雨戸。風のない凪(なぎ)の時でも縦に空気が循環する、ちょうどよいサイズの吹き抜け…


求めれば、内に居ながらにして外を感じることができる設えが、わたしたちのつくる木の家には備わっています。もちろん、Mさんの住まいにも。

軒のないガラス張りは、自然の力をはね返してしまいます。はね返された自然は、お隣やお向かいでいたずらをしかねません。太陽や風を、時に受け入れ、時に受け流し、寄り添う暮らし。めざすべきは、そういうことではないかと。

【木の家の住まい手は、住み暮らしながら、四季を愉しむために施された設えを、自らに馴染ませていく。現しの無垢の木の架構、板やら土やら紙やら、素材がそれに応える。洗濯するごとに体に馴染む衣服のように、家が体に馴染んでくる。家が好きになる。子供たちも、お父さんお母さんと一緒に、家が好きになる。季節を肌で感じながら、心地よい方向へ、ありのままに使いこなしていく】

私たちがイメージする住まい手像です。



すぐに壊れる機械じかけのモノや、電池がないと動かないようなモノは、ここにはあまり登場しません。そう、むずかしい話はひとつもありません。パッシブデザインという設計手法を軸に、数値ではなく感覚を頼りに、人が手を動かすことで暑さ寒さを調整できるコト、設えを大切にしています。

さて、神戸の丘の上に暮らすMさんと、その新しい住まいに、四つ目の季節がやってきます。新居に初めて訪れる夏を想い、迎え入れることを幸せに感じてくれているMさん。お気に入りの居場所は、内と外をつなぐ、日本固有の曖昧で愉しい領域、そう、縁側です。わたしたちがインナーデッキと呼ぶその濡れ縁は、深い軒下にあり、山採りの雑木を植栽した庭に面してあります。

神戸市内の普通の分譲地でありながら、里山に建つ民家にも似た佇まいを求めました。母屋の向かいに、離れのように建つガレージと外物置きの棟も、木つくりです。ふたつの木の建築にはさまれた中庭は、四季を経て、住まい手憩いの場所になりました。

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