木の家を群としてつくる。

新年あけましておめでとうございます。

今年は、里山のある街角つくりに挑戦します。里山住宅博で協働させて頂いた、ランドスケープデザイナーの田瀬理夫さんにお知恵を借りながら、立案した街区計画のイメージを、師匠である秋山東一先生に描き上げてもらいました。詳細は随時発表していきますので、ご期待ください。

夕焼け空に緑の雲が浮かぶ丘
〜明石公園の東、荷山町あたり〜

「空が見えたらそれでいい。」 そんな田瀬理夫さんの言葉から始まった里山のある街角つくり。子供たちの原風景をつくろう。そんな想いを集めて、地域の職人が、地域の素材で、木の家群を手つくりします。腕によりをかけて。

つくり方はシンプル。明日美しくあるようにつくること、懐かしい未来へ向かって。

【建築について】

豊かな街区に、8軒の異なる矩形の建築をレイアウトするものです。いくつかのサイズの模範ともなる住宅建築を具体的に図示することで、つくり手が思い描く完成予想図を策定。それを、未来の住まい手に見て頂くことで、この土地を取得して注文住宅を建てたいひとを公募します。

その8軒の住宅計画の端緒を、巨匠秋山東一に依頼。秋山先生監修のもと、四代目は、百年の老舗大塚工務店の新たな境地を目指します。

これまでとこれからをつなぐ木の家の規範となるベーシックハウスを提案します。

↓敬愛する鹿児島シンケンスタイルのつくる街角に、集う住まい手。集まって住む愉しさを、体現している。

【街区について】

◯田んぼひとつ、田の字型街区ふたつ、水源八つの末広がり

8つの宅地は、既存を活かした段丘状の形質として、水上の4宅地(一期)は棚田のように分割し、水下の均した4宅地(二期)に至ります。

カスケードのように、段差に抗うことなくイーズメントを通し、それぞれの土地に降る雨を水源として、水下にあたる田の字に切った4宅地の中央に、コモンとして「田んぼ」を拓きます。

十字を成す隣地境界線を、目に見える形でつくることはありません。境界線は「田んぼ」であり、あぜ道であります。そして、かっての里山集落に倣い、「田んぼ」に陽があたるように住戸を配します。軒は、低く抑えて。

この「田んぼ」は4宅地の地面より少し持ち上げて、池とは異なる人の営為の証とします。この少しの人為が、小さいけれど、大切な未来の原風景となることを願って。

◯衆知を集めて成果をシェアする

夏はもち米の為に水を張り、秋は実る穂を眺め、冬に改めて水を張り、濁らない水盤と見立てます。春を待ちながら餅をつき、赤飯を炊いたなら、小さな茶碗を持ち寄って、小さく春を祝います。細く短いあぜ道は、袖のふれあう井戸端のようです。

「田んぼ」ですから、人が水を抜き養生をすれば、住まいの維持管理に必要な車両の進入を拒むことはありません。

全ての宅地に埋める水源は、透水するトレンチを介して貯水。埋設型の雨水タンクを用いた水源と水源の間は暗渠で繋ぎ、堰を切れば水下の田んぼへ放流することができます。

普段の水源はというと、生活を豊かにするための用水として働きます。災害時にも役に立ちますね。働く庭つくりの端緒としての役割も担うわけです。

◯雨を讃え、庭に土を。

隣に雨水が及ぶことを禁ずる民法。雨樋を掛けることは、その雨水対策のひとつとして定着しています。しかし、その後、配管を介した雨の行き着く先は河川。時に川の治水性能の上限にくい込んでしまいます。

水源に貯水するための透水トレンチは、地を這う軒樋となって、建築に雨樋を掛けることを省いてくれます。あるべきだと思い込んでいた雨樋を省くだけで、雨の糸がつくるよしずは見るに愉しく、雨が降ることの意義を、子供たちは自ずと知ることができるでしょう。

すると大工は、家の中の営為にわるさしないように、軒を深く出して雨垂れを手なづけるのです。

地つづきの集落の在り方を日々感じることができる仕掛け。地面を堅いもので覆わなければ、土地を形づくるは土というあたりまえに気付き、庭に土が顔を出すのがあたりまえになる。土は緑の雲を、育てます。緑化は、とても大切です。

◯ひとが通る道

「田んぼ」に水を引くために、街区に降る雨を水源にする。別の言い方をすれば、敷地境界を横断する水脈を通し、それを共有して、ほんの少しの野良仕事に使うということ。

水脈の上に通すイーズメントは、自動車の為でなく、風と共に、人や犬が通る道であり、集落を細く貫いて、丘の上と下を繋ぎます。道中、小さな小さな田んぼのあぜ道となって。

一方、車道に面した場所には、車置場を設えて、人が住み暮らす居場所と分けました。車で出かけた雨の日に、不便を感じることがあれば、目下、流るる水脈の上を踏みしめる一興に感じ入ってください 笑。

【ひとこと】

あなた達工務店の手の先に、建築はある。
秋山東一 建築家

空が見えれば、それでいい。
田瀬理夫 造園家

なるほど、面白い。ここは元々田んぼやからな。
地主 百姓

手づくりには愛情が宿る。
神主 地鎮祭にて

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