本日は、地域材利活用建築デザインコンテスト
第5回の、公開審査会でした。
大塚工務店は「塩屋借景の家」をエントリー。
エントリーシートは、こんな感じです。
地域材コンテスト2024
結果は…
【吉井歳春賞】受賞!
って、冒頭に書いてましたね。
吉井先生は、多くの建築の学校で教鞭を取る傍ら、
審査員を務めておられます。
口癖は、建築の社会性、社会との関わり方。
住宅建築では達成しにくい事柄ですが、街に開きながら
ふところを深くする構え、多孔質な庭つくり…etc
その辺りが、評価されて、とても嬉しいです。
応募者名を伏せた状態での、建築家3組
によるガチンコ審査のコンテスト。
それだけに、大変嬉しいのです。
性能や機能はあたりまえに担保して
数値では表しきれない、豊かさや情緒を
体現する民家のありようをヒントに、
全うな「風土と暮らす木の家」つくりを
重ねていくことを、新たに決意した
今日なのでした。
最後に、プレゼンボードには…
この家の、小さな主になったつもりで、
塩屋の町に住むことを、物語にしました。
・
「海と山のすきまで 」
塩屋駅に着いた。
ホームに降り立つと、潮騒、磯の香り、そして浜風。
僕の体が、そこにある見えない海の存在を認める。
駅を後にして、細い路地を進む。
谷合を縫うように、繕うように、並ぶ商店の連なり。
この町に、住み暮らすみんなと、振る袖をすり合いながら、
商店街を抜けると、
山と海を繋ぐ、小さな川を渡る。
海を背中に感じながら、坂を登る。
そしてまた、川と出会い、また離れて、
歩く、
歩く。
登る。
もう一度、川べりに沿って、
急坂を曲がれば、僕の家が見える。
今にも、港に漕ぎ出しそうな、
筏(いかだ)みたいなバルコンが、
下屋根の上に載っている。
それには、透明の屋根が掛かっていて、
階上から空と星を眺めるのに、遮らない。
昇る太陽も、お月さんも、よく見える。
僕らは、二階の窓を「空窓」と言って、
バルコンを「空庭」と呼ぶことにした。
空庭からは、今帰ってきた道は見えないけれど、
須磨浦遊園のある山頂に、展望台を認めることができる。
海はというと、小さい僕の目には映らない。
もしも、パパとママより背が高くなれたら、
水平線や、淡路島も見えるかな。
空も、
六甲山も、
隣の屋根も、
みんな塩屋借景。
谷合の営為を愛でる、
空窓と、
空庭テラス。