その弐


箱の裏には「植林木をつこてますねん」というお示しが。
自然林は生態系に与える影響も大きく、その伐採は慎重に行う必要がありますが、人工林とはわけて考えたいところ。
日本の山の多くは、私達の先祖が民家を建て、民具をこしらえるために植え、育ててくれた人の手が入った森です。木々の多くは、材木にふさわしい樹齢を向かえています。その年月を敬い、感謝して、立ち木をかり、材木として見立て、木材として仕立てる。そしてまた、若木を植える。
そう、御飯を食べるとき「頂きます」と山海の幸に、お百姓さんに感謝して、おいしく頂きますが、木もそんな風なのです。
「きこり」の仕事は、木を伐るだけでは、ないのです。山を守るため、ひとつのサイクルを愛情込めて、永くつづけておられます。自然に感謝しながら。
なので、木を、わたしたちの住まいに使わせてもらうこと。そして、また、きこりに若木を植えてもらうこと。
このやりとりは、とてもたいせつなのです。
三月に植林体験をさせてもらった河内長野のお父さんは、誇らしげでした。
「わしは、ハゲヤマはつくらへん。伐っては植えて育てての繰り返し。だからそのために林道もつくる。」
いっぺんに、ようさん植えて、何十年後にいっぺんに伐る。それは簡単かもしれませんが、山は丸裸になり、風邪を引いてしまいます。山は荒れ、川は悲しみます。
自然としての緑を保ちながらの、伐採作業は、若木が倒れてしまわないよう配慮あるいは遠慮しながらの作業。とても手間暇が掛ります。
けどそれは、おっちゃんの中ではアタリマエ。アタリマエをきっちりと着実に。このスタイルは、あとに続く「家づくり」にも、ちゃんと引き継がれていくべき思いであるはずだと、四代目は再認識したのでした。

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