母の実家近く、吉川町にあった古民家解体の際に譲り受けたケヤキの大黒柱があります。本来であれば、末永くそこ建ちつづけて欲しかったのですが文化財の保護同様、維持することは簡単ではありません。結果、諸々の事情で解体を決断されました。
「古材を活かす」ということは、その実、「もったいない」の心だけではありません。例えば、桧の場合、伐採してから100年後に、最も質が安定し強度を発揮するいうことが、実証されています。
そんな古材を、わたしたちの暮らしの中に活かすことを今、真剣に考えています。従前より、ご要望があれば、古材や銘木の利用はしてきましたが、積極的にご提案していきます。
元来、古材(古い大黒柱や梁)は骨董品扱いされる場合も多く、適正な、あるいは明快な定価設定がなされていませんでした。それらを保証なども含めて、地震に耐えうる構造材としても、また、吹き抜け空間などへアクセントとしての化粧材としても扱える古材を、新築やリフォーム、店舗設計の中に取り入れています。
「転用」ということばがあります。
本来のそれと、違う用途にその材を使ってもいいのです。例えば、上は、古民家の屋根を支えていた梁を新築住宅の柱材として活かしたもの。
また、贅沢な使い方ですが、現在当店の作業場では、前述の大黒柱を、現在、囲炉裏に加工、公開中の当社、自邸前をギャラリーとして改装し、その中心に炉を切ります。
古材は難しいものでありません。いわゆる移築のようにその全てを古材にすることを考えるのではなく古材を身近なところに少し使うだけで、その圧倒的存在感はわたしたちの心をとらえて離しません。とまあ、そんな感じなのです。
古材の活用については、随時ご提案を発表していきます。ご期待ください!
3mの柱の場合、伐採してから、ちゃんと乾燥するまでに約15Lもの水分を木は吐き出すといわれています。そして、きちんと乾燥が行き届いた柱は、ひとりで1Lもの水分を吸ったり吐いたりしてくれるのです。これがいわゆるひとつの吸湿性能です。私たちの皮膚と同じですね。
その意味で、よく乾燥が行き届いた究極の乾燥材としての古材は、私たちの代わりに四季に敏感に反応して、カビや菌の繁殖しにくい環境をこさえてくれるのです。
併せて、桐材をはじめとする無垢材や、土佐和紙などをインテリアに活用すれば、アトピーなどのアレルギーの根源も退治できると考えられています。
逆に、乾燥の行き届いていない木材の利用は、内部結露を招くおそれがあるということも、忘れてはいけない事実のひとつです。