居は気をうつす

松下幸之助さんのやさしくて、力強いことばをご紹介しましょう。
昭和41年の手記ですので、少々ことばがたつところもありますが、
理念としては、素晴らしきかな
「住まいは人間形成の道場」
孟子のことばに “居は気をうつす” というのがあるそうだ。
つまり、住まいというものは、そこには住む人の心を変化させ、
一つの性格を形づくる力をもっているという意味である。
たしかにお互い人間は、幼いときからの日々の生活習慣を通じて、
いろいろと物事を学んでいく。あるいは感化を受けていく。
その生活環境の中心が住まいであって、だから住まいというものは
人間形成に大きな影響を与えるものだと思うのである。
したがって、私は住まいというものを、単に雨露がしのげ、
心身の置きどころになればよいと考えるのではなく、さらに進んで、
人間を練り鍛える道場、人格の成長をはかる場所という観点から
これを重視するとともに、細心の注意をもって住まいづくりを
心がけなければならないと思っている。
昭和四十一年十月九日
松下幸之助

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